園 長
「音楽を通して“生きる力”を育てる」
この春、東京音楽大学付属幼稚園 の園長に就任された服部洋一先生。音楽大学付属ならではの教育環境を生かしながら、子どもたち一人ひとりの個性を大切にした保育を実践されています。今回は、これまでの歩みや園長就任への思い、園の特色、そしてこれからの幼児教育への期待についてお話を伺いました。
――まず、服部先生のこれまでのご経歴を教えてください。
ありがとうございます。私はこれまで、長く教育現場や学校運営に携わってまいりました。特に子どもたちの成長に関わる教育環境づくりに関心を持ち、「子どもが安心して挑戦できる場をつくること」を大切にしてきました。
音楽教育そのものだけでなく、幼児期の情操教育や人間形成に強い関心があり、ご縁をいただいて令和8年4月より東京音楽大学付属幼稚園の園長に就任いたしました。音楽には、人の心を豊かにし、他者とつながる力があります。幼児期にその環境に自然に触れられることは、人生において大きな財産になると感じています。
――園長に就任された際のお気持ちはいかがでしたか。
伝統ある幼稚園をお預かりする責任の重さを感じる一方で、とても温かな期待も感じました。本園は昭和25年に開園し、これまで約4,000名もの卒園児を送り出してきた歴史ある幼稚園です。長年積み重ねられてきた「音楽を通した幼児教育」を大切に守りながら、現代の保護者のニーズや子どもたちの多様性にも柔軟に応えていきたいと思っています。特に近年は、預かり保育の充実や施設リニューアルなど、安心して通える環境づくりにも力を入れています。
――東京音楽大学付属幼稚園の沿革や特色について教えてください。
本園は1950年に、東京音楽大学の付属幼稚園として開園いたしました。音楽大学付属という特性を生かし、幼児期から質の高い音楽環境に触れられることが大きな特色です。日々の保育の中には、歌やリズム遊び、合奏などが自然に取り入れられており、子どもたちは「音楽を勉強する」というより、「音楽と共に生活する」感覚で過ごしています。また、年中組からはピアノ、ヴァイオリン、マリンバ、うた等の個人レッスンを受けることができ、大学の先生方が指導に関わることもあります。クリスマス演奏会や卒園演奏会など、子どもたちが舞台で表現する機会も多く、「できた!」という成功体験を積み重ねられる環境があります。
――音楽教育において、先生が特に大切にされていることは何でしょうか。
「上手に演奏すること」だけを目的にはしていません。音楽を通して、友だちと気持ちを合わせたり、最後までやり遂げたり、自分を表現したりする経験こそが大切だと思っています。たとえば合奏では、「自分だけが目立てばよい」のではなく、「みんなで一つの音を作る」ことを学びます。そこには協調性や思いやり、集中力が育まれています。また、幼児期は「失敗しても大丈夫」と感じられることがとても重要です。本園では、挑戦する気持ちを認め、小さな成長を丁寧に見守ることを大切にしています。
――先生方の保育への姿勢についても教えてください。
本園の教職員は、とても温かく、子どもたち一人ひとりに真剣に向き合っています。幼児教育は、単に知識を教えるだけではありません。子どもの小さな変化に気づき、「今日は少し元気がないかな」「何か挑戦したい気持ちがあるのかな」と、日々丁寧に関わることが求められます。特に本園では、音楽活動を通じて子どもたちの個性がよく表れます。だからこそ、「みんな同じ」でなく、その子らしさを受け止める保育を大切にしています。また、保護者との連携も非常に重要です。子どもの成長を園と家庭が一緒に喜び合えるような関係づくりを心がけています。
――近年の園の取り組みで力を入れていることはありますか。
一つは、保育環境の充実です。園舎のリニューアルも行い、より安全で快適な環境づくりを進めています。また、預かり保育を18時30分まで実施するなど、共働き家庭にも安心してご利用いただける体制を整えています。さらに、未就園児向けの「ピッコロランド」では、親子で音楽や遊びを体験できる機会を設けています。幼稚園を身近に感じていただきながら、子どもたちが安心して園生活へ移行できるよう取り組んでいます。
――今後、豊私幼連に期待することをお聞かせください。
豊島区には、それぞれに特色ある素晴らしい幼稚園がたくさんあります。私は、各園が互いの教育実践を共有し合いながら、地域全体で子どもたちを育てていくことがとても大切だと思っています。少子化や保育ニーズの多様化など、幼児教育を取り巻く環境は大きく変化しています。そのような時代だからこそ、私立幼稚園同士が連携し、情報交換を深め、地域の保護者に「幼稚園教育の良さ」をしっかり発信していく必要があると感じています。また、幼稚園は単なる“預かりの場”ではなく、人間形成の土台を育む場所です。その価値を社会全体で共有していけるよう、連合会としても大きな役割を果たしていただけることを期待しています。
――最後に、保護者の皆さまへのメッセージをお願いします。
幼児期は、人生の根っこを育てる大切な時期です。子どもたちは毎日の遊びや経験の中で、多くのことを感じ、学び、成長しています。本園では、音楽をはじめとしたさまざまな活動を通して、子どもたちが「自分らしく輝ける」環境を大切にしています。
保護者の皆さまと共に、一人ひとりの成長を喜び合いながら、安心して通える園づくりに努めてまいります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。


